【第32回】結婚資金・子育て資金①

令和の結婚・子育て事情とお金の話

2021.10.06

令和の結婚・子育て事情とお金の話

 2021年2月に公表された厚生労働省の人口動態統計速報によると、2020年1月~12月の日本の婚姻件数は約54万組と、前年比で▲約8万組、率では▲12.7%と大きく減少していることが判りました。
 また出生数は前年比で2.6万人減った87.3万人で、過去最低となっています。米国でも2020年の出生率は、前年から4%低下し、約40年ぶりの低水準となりました。
 この背景として、新型コロナの影響で結婚に繋がる出会いが少なくなっており、結婚式も行いにくい状況があるのではないか、との見方も出てきています。「少子化」への影響を考えると、家庭生活の「結婚」「出産」というイベントを支援する各種制度の役割は重要になってきていると思われます。
 そこで、10月のコラムでは「結婚資金」「出産・子育て資金」に注目したいと思います。

結婚にかかる費用はどれくらい?

 リクルートブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」によると、2019年4月から2020年3月の間に結婚(挙式、披露宴・ウエディングパーティ)をした人が、結納・婚約から挙式・新婚旅行にかけた総額は平均で約469万円でした【図表1】。

図表1 結婚費用(結納・婚約〜新婚旅行まで)の全国推計値

 費用を項目別に見ていくと、「挙式、披露宴・ウエディングパーティ」の362万円が最も大きく、費用総額の約77%を占めています。
 最近の傾向としては、人前式の挙式も増加してきており、披露宴などの規模も近親者中心のコンパクトな形態が好まれてきているようです。
 とはいえ、結構大きな金額ですので、結婚費用(結納、挙式、披露宴・ウエディングパーティ、二次会、新婚旅行を合わせたもの)に対しては約79%の人が親・親族から援助を受けており、その額は平均で約192万円でした。
 新生活を始めるお二人の自己負担額としては「結婚費用総額」から「頂いたご祝儀金額」と「親・親族からの援助額」を差し引いた金額が目安と考えられますので、おおむね50万円から150万円程度といわれています。「これなら」と思える水準かも知れません。
 ただ、「新婚生活実態調査2020(リクルートブライダル総研調べ)」によると、新婚生活準備にかかった費用の総額は平均で約59万円(インテリア・家具の購入や家電製品の購入など)となっていますので、結婚準備の自己資金としては、この費用も含めて考えておきたいところです。

出産・子育てにかかる費用はどれくらい?

 出産費用については、公益社団法人 国民健康保険中央会が公表していますが、年度によって多少の変動はあるものの、全国平均では、おおよそ50万円程度(正常分娩の場合)です【図表2】。
 出産の平均費用は都道府県によって変わってきます。都道府県別の平均では、東京都が62.2万円と最も高く、最も低いのは鳥取県で39.6万円となっています。

図表2 出産費用(全国平均)

 では、出産費用の自己負担額はどれくらいを想定しておけばよいのでしょうか。
 出産費用は原則として自費となります。妊娠、出産は病気ではないので健康保険が適用されないからなのですが、経済的負担を軽減させる公的支援制度が用意されています。
 代表的な制度の1つである「出産一時金」は、加入している健康保険に申請をすると一律で42万円が支給される仕組みです。申請期限は出産日の翌日より2年となっています。
 また、妊娠した女性が出産のために勤め先を休んだ場合は、勤務先が加入している健康保険から「出産手当金」を受け取ることができます。出産手当金は、産休中の給与支払いがない期間でも、家族の生活を保障して、安心して休養・子育てができるように設けられた制度です。パートやアルバイトの方でも勤務先が加入している健康保険の被保険者であれば受け取ることができます。

どうやって準備しましょう?

 9月のコラムでは、「教育資金」について ①貯めて準備する ②借りて準備する ③もらって準備する を中心にお届しましたが、今月の「結婚・子育て資金」の準備は ①貯めて準備する ②もらって準備する をメインとして次号以降でお伝えしていきます。

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