【第88回】
2023.01.11
2022年は「金融」に関するトピックが非常に多い1年間となりました。4月に高校家庭科・公民科の授業において「金融教育」が必修として取り扱われるようになり、岸田内閣からは「資産所得倍増プラン」が発表されました。「人生100年時代」を迎え資産形成の必要性の高まりを背景として、「金融リテラシー」というワードを耳にする機会がかなり増えてきたように感じますが、実際、世間での「金融リテラシー」に対しての認知度はどれくらいなのでしょうか?
ミライ研が実施した第3回「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)アンケート調査によると、【図表1】の通り「金融リテラシー」という言葉を聞いたことはあるが、意味は知らないと回答した方、「金融リテラシー」という言葉を聞いたことはないと回答した方は、合計「65.1%」と7割近い数字となりました。「金融リテラシー」って何!?という方は是非、過去に掲載させていただいたコラム(第56回~第58回コラム)をご参照ください!
この結果を踏まえながら、今回のコラムでは「金融リテラシー」を考える前に、一度原点に立ち返って「金融」ってそもそも「何だっけ」?という内容を「金融」の成り立ちや歴史も交えつつ触れていきたいと思います。
「金融」という単語を聞いてまず、最初にどういったことを想像するでしょうか?銀行で働いている人のことをイメージする方もいれば、某ドラマ作品のことを連想する方もいるでしょうか?
「金融」とは、お金を持っている人(資金余剰者)と、お金を必要としている人(資金不足者)を結び付け、お金を融通することを略して「金融」といい、その両者の間に入り必要な場所にお金を届けるサービスを幅広く提供している業種を、「金融業」といいます。
「金融」サービスで取り扱う物はお金に限らず、株式や債券などの有価証券や保険、投資信託、外貨など、お金に換えることのできるモノ・サービスなど、多種多様な商品を取り扱っています。
さて話は少し変わりますが、息抜きもかねて日本における「金融」のルーツを少し遡ってみたいと思います。
時はなんと、平安・南北朝時代にまで遡ります。主流だった物々交換の時代から、宋銭の流通による「貨幣経済」が社会の文化として浸透してきた時代です。当時、特権階級となっていたのはお寺や神社で、お布施等により「お金」が潤沢に集まっていたといわれています。いわゆる富裕層です。そんな中、お金に余裕のある人が、お金を必要としている民衆にお金を貸し与える生業が現れ、そういった人々を「貸上(かしあげ)」と呼び、日本における金融業の元祖となったといわれています。
およそ700年近く前には「金融」機能の基礎は出来上がっており、現代まで引き継がれてきているという非常に古い歴史を誇っているようです!
日本における「金融」の成り立ちを少しお話させていただきましたが、お伝えしたかったこととしては、お金を通して人を繋ぐ、という根っこの部分は、現在までほとんど形を変えず残ってきているということです。
皆さまがお金を銀行に預ける、銀行はそのお金を管理して、企業へ融資したり個人に住宅ローンを貸出したりしながら、社会全体のお金の流通量を増やしています。この関係は大半の預金者の方からしてみると、「銀行に預金をしているだけ」と感じるかもしれませんが、そのお金が社会をめぐりながら、社会経済の下支えを担っている、それが「金融」なのです!
「金融」とひと口にいっても、前述したとおり、持っている機能や提供しているサービスは多岐にわたります。そんな幅広い金融業務ですが、代表的な金融機能として「直接金融」と「間接金融」に分類することが可能です。あまり聞きなれないワードかとは思いますが、知らず知らずのうちに私たちの暮らしにも深く関わっているものですので、「金融」につながる知識として次回のコラムでは、「直接金融」「間接金融」の意味や特徴、日常のどういった場面で登場しているのか、についてご紹介させていただけたらと思います!