【第71回】第3回1万人アンケート調査

令和の“老後不安”を考える②

2022.08.31

令和の“老後不安”を考える②

 前回は、老後の生活は平均像では語れないことを見てみました。
 今回は、この老後不安事情を様々な切り口で分析していきたいと思います。

資産がたくさんあれば、不安はない?

 老後の不安は、資産があるほど解消されるでしょうか?
 下記は年代ごとに、保有金融資産別の“老後不安”回答率を示したものです。
 年代が上がるにしたがって、持っている人と持っていない人の老後不安に差が出てきていることがわかりますが、若い方々は、ある程度の資産があれども老後不安を軽減しているわけではなさそうです。

図表1 保有金融資産別の“老後不安”回答率

住まいがあれば、不安はない?

 では今度は、保有不動産という観点で見てみましょう。自身の住まい(持ち家)があるとないで不安は変わるでしょうか。
 図表2を見ると、どの年代も、持ち家の方より賃貸の方のほうが、老後不安を持っている方は多そうです。現在の持ち家を終の棲家にするかはさておき、住まいが現時点で確保されていることは将来不安の解消につながっていそうです。若い方はさほど差はないものの、高齢になるほど、この不安の差が大きくなっているようです。高齢になるほど賃貸物件を借りづらくなっていきますので、そのことも不安の大きさに反映されていることが想定されます。

図表2 居住形態別の“老後不安”回答率

 いかがでしたでしょうか。自身の金融資産・不動産などの有無における老後不安の差についてみてまいりました。年齢を重ねるほど、金融資産・不動産を持っているほど不安が減り、持っていないと不安を感じるようです。また、若い年代では金融資産・不動産を持っていても、不安度にそこまで差はないようです。

 ここで考えたいのが、老後不安は「(資産を)持っていないから不安」だけでなく、「先のことがわからないから不安」という、先行きの見通しが立たないことも大きな要素であることです。若い方の不安も、ここに拠る部分が多分にありそうですね。
 次回は、この“自身の人生の先行きを見通す”ことについて掘り下げてみます。

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