【第34回】結婚資金・子育て資金③

もらって準備! 結婚・子育て資金<その2>

2021.10.20

もらって準備! 結婚・子育て資金<その2>

 前回の「もらって準備」の続きからです。
 結婚・子育て資金を「もらって準備」する場合に活用したいのが、「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」でした。この特例は、経済的不安から結婚・出産を躊躇している若年層へ、両親や祖父母の資産を早期に渡すことを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援することを目的とした特例措置です。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは?

 この特例の適用を受けるにあたっての条件は以下の通りです。

  • ・直系尊属から20歳以上50歳未満の子・孫等への贈与であること(2022年4月1日以降は18歳以上50歳未満)
  • ・受贈者の所得が1,000万円以内であること
  • ・結婚や子育ての資金に使用すること
  • ・金融機関で口座を開設すること

 金融機関で専用口座を開設した後に、贈与された金額の預け入れが必要です。また、このとき、受贈者から所定の申告書(結婚・子育て資金非課税申告書)を金融機関に提出します。口座を開設する前に贈与者と受贈者の間で、書面による贈与契約を締結しておく必要があります。
 開設可能な専用口座は、受贈者1人につき1つです。一度に全額ではなく分割して預け入れることも可能です。

信託を活用した結婚・子育て資金贈与とは?

 信託は資金を預かるだけではなく事務手続きのサポートも行うことができるのが特徴です。結婚・子育て資金贈与も信託で取り組むことができます(名称は、「結婚・子育て支援信託」が一般的です)。
 結婚・子育て支援信託の仕組みについて、ここでは三井住友信託銀行の提供しているサービスを例としてみてみましょう。

図表 三井住友信託銀行が提供している「結婚・子育て支援信託」の仕組み
  • ・非課税扱いとする条件である、①結婚・子育て資金口座の開設 ②資金口座からの出金 に付随する事務取扱いを信託銀行が担います。
  • ・資金を信託銀行に預け入れる時点で贈与を受ける方から「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出いただき、信託銀行から税務署宛てに提出します。
  • ・贈与を受ける方から結婚・子育てに関する費用の領収書等と信託銀行所定の払出請求書を提出いただくことで出金(払い出し)を行う仕組みです。

 当初預け入れ金額は金融機関によって異なります(三井住友信託銀行の場合、5,000円以上1,000万円以下 1円単位)。また、現在、このサービスの利用に関しては、利用者に手数料がかからない扱いが一般的となっています。
 このようなパッケージ化されているサービスを活用して、「もらって準備」を検討してみてはどうでしょうか。

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