【第132回】

11月30日は何の日でしょうか?

2023.11.29

11月30日は何の日でしょうか?

 11月30日は何の日かご存知でしょうか。そうです。11月30日は「年金の日」です。厚生労働省が“国民お一人お一人、「ねんきんネット」等を活用しながら、高齢期の生活設計に思いを巡らしていただく日”として、毎年11月30日(いいみらい)を「年金の日」と定めているそうです。
 今回のコラムは、その「年金の日」にちなんで、実際に年金額を把握できている方がどれくらいいらっしゃるか、その把握の仕方、把握時の感想などについて、ミライ研が行ったアンケート調査の結果をもとに見てみたいと思います。

公的年金の受給額は年齢が上がるとともにイメージがわいてくる

 実際、年金額を把握されている方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。ミライ研が実施したアンケート調査によれば、公的年金の受給月額をイメージできている方の割合は、18~29歳では27.6%、30~39歳では34.8%、40~49歳では44.2%、50~59歳では56.3%、60~69歳では78.4%でした。やはり、年齢が上がるとともにイメージがわいてくるようです。

図表1 世帯で将来受給する公的年金のおおよその受給月額をイメージできているか

 受給額をイメージできている方に対しては、受給額の感想も尋ねてみました。すると、金額が「想定よりも少なかった/やや少なかった」と感じる方の割合が高いことが分かりました。

図表2 公的年金受給額を把握したときの感想

想定とのギャップが小さい人もいる

 受給額をイメージされている方について、把握手段別に受給額に対する感想が異なる傾向を示すことが分かりました。図表3は、受給額の把握手段別に公的年金額に対する感想を分析したものです。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の試算などで把握された方々や、新聞・テレビなどの情報源から把握されている方々は、概ね「少ない」との感想に偏っていますが、FPや金融機関などの第三者に相談して把握された方々は、「金額は想定通りだった」との感想が最も多く、想定とのギャップが小さかったことがうかがえます。「ねんきん定期便」や報道等からの情報の場合だと、もしかすると示されている金額に対してどう捉え、どう判断すればいいのかが難しいということもあるのかもしれません。FPや金融機関などの専門家の助言を受けることで、公的年金に関する情報が正確かつ理解しやすい形で得られます。これにより、公的年金額に対する冷静な解釈ができるようになり、感想がより客観的に形成されるのではないかと考えられます。近年、金融リテラシーや金融経済教育が話題ですが、公的年金額を自分事として適切に把握し理解するには、専門家のサポートが重要であることが示唆されます。

図表3 公的年金受給額を把握したときの感想(手段別、複数回答可)

 図表4はライフプランを立てている度合い別に、公的年金額に対する感想を分析したものです。ライフプランを立てていらっしゃる方は、公的年金の金額に対して「想定通りだった」と答えている割合が高く、ライフプランを立てている度合いが低くなるにしたがって、金額が「想定よりも少なかった」「何も思わなかった」と感じる割合が増加する傾向にあります。

図表4 公的年金受給額を把握したときの感想(ライフプランを立てている度合い別)

 ライフプランを立てることで、将来のライフスタイルや収支の計画が具体的になります。これにより、公的年金と現役期の収支や資産形成などとの調和が図られ、公的年金額への理解が深まるものと考えられます。公的年金の位置づけがクリアになると、想定とのギャップが縮小されるのではないかと考えられます。
 このように、FPや金融機関などに相談された方やライフプランを立てていらっしゃる方は、公的年金額とともに他の収支や資産額も把握されていらっしゃると思われます。公的年金額を単体でお考えなのではなく、自分のライフプラン・マネープランのなかでの公的年金の位置づけをしっかり「想定」されているということなのでしょう。

年金額を把握して「想定通り」のセカンドライフを

 特に若い方はまだ年金額をイメージできていないとお答えになった割合が高いですが、最近は公的年金シミュレーターで手軽に年金額を把握できるようになっていますのでおススメです。今後の働き方・暮らし方を変えてみたときに年金額がどう変化するかも簡単に分かりますので、ライフプランを立てる際にも役立ちそうです。
 また、年代を問わず「年金は想定より少ない」との感想をお持ちの方が多いようですが、「公的年金は払い損ではない」ということを解説したこちらのコラムも、もしよろしければ参考にしてみてください。

 さて、11月30日は「年金の日」ですが、世の中的なトレンドに流されず、一人ひとりのライフプランやそれに応じたマネープランのなかで、公的年金の位置づけを「想定」いただくことをお勧めします。

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