【第104回】

若年層の資産形成事情 ~ 行動編 ~

2023.05.10

若年層の資産形成事情 ~ 行動編 ~

 前回のコラムでは、若年層の資産形成事情「意識編」ということで、資産形成や将来設計に関する考えを中心にお話させていただきました。本テーマ2回目となる今回のコラムでは、「行動編」ということで、実際に若年層の方々が、資産形成に向けてどういった取り組みを行っているのか、を中心に見ていきたいと思います。

※本コラムでは「若年層=20歳代(18-19歳の回答含む)」として進めさせていただきます。

「行動」できているのは・・・?

 ミライ研にて実施した「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)において、「定期・不定期に関わらず、資産形成に向けて行っている取り組みはありますか」【図表1】の項目を見てみると、「ある」と回答した若年層の割合は62.5%と、他年代と比較して大きな差は見られませんでした(むしろ全年代平均を少し下回っていました)。この項目の結果を見ると、資産形成に対しての関心は高いものの、まだ具体的な行動には至っていない方も一定数存在することがわかります。

図表1 定期・不定期に関わらず、資産形成に向けて行っている取り組みがあるか

若年層の資産形成に最も利用されている制度は・・・?

 資産形成に向けた取り組みが「ある」と回答いただいた方は、実際どういった取り組みを行っているのでしょうか。同調査にて【図表2】「資産形成のため利用している制度について」を伺った項目では、若年層取り組み人気No.1は「つみたてNISA」(31.4%)となり、全体平均を大きく上回る結果となりました。逆に「つみたてNISA」以外の制度利用に関しては「個人型確定拠出年金(iDeCo)」を除き、全年代平均を下回る結果となり、若年層の資産形成に向けた取り組みにおける「主役」は「つみたてNISA」となっていることが読み取れます。

図表2 資産形成のため利用している制度について

制度改正を控え、一層期待が高まるNISA

 実際に若年層における「つみたてNISA」の利用件数はここ数年で大きく上昇しています。金融庁が公表している【図表3】「『つみたてNISA』口座件数の推移」で2018年9月から直近データの2022年9月までの「増加率」を見てみると20歳代が10.2倍となり、全年代のなかでトップとなっていることがわかります。2024年には、NISA制度の大幅改正が予定されているため、今後も若年層の資産形成に「NISAを活用して積立」、という流れは一層拡大していくものと思われます。

図表3 「つみたてNISA」口座件数の推移(2022年9月時点)

 本コラムを読んでいただいている若年層の方で「資産形成に取り組みたいけど何から始めればいいかよくわからない」という方は、「NISAの活用」を検討からはじめてみてはいかがでしょうか。次回のコラムでは、若年層の資産形成事情を「金融リテラシー」と絡めながら見ていきたいと思います。

twitter
facebook
line
pagetop