【第103回】
2023.04.26
昨年(2022年)に岸田内閣から打ち出された「資産所得倍増プラン」や、NISA制度の大幅見直しをはじめとして、個人家計の資産形成に対する注目は一層の高まりを見せています。併せて「成年年齢の引き下げ」や「高校教育における金融教育必修化」の施行、自助努力意識の高まりなども相まって、「若年層における資産形成」に関するニュースや記事をよく目にするようになりました。そこで今回のコラムでは、若年層に焦点を当てつつ、資産形成に対する意識や取り組みについて、全3回にわたって紐解いてみてみようと思います。
※本コラムでは「若年層=20歳代(18-19歳の回答含む)」として進めさせていただきます。
まずは若年層における資産形成に対する意識を見ていきたいと思います。その前段として、まずは皆さんがお金に関して、どのような不安を抱えているのかを確認してみたいと思います。ミライ研にて実施した「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)アンケートにおける「将来の不安」を伺う項目では、若年層を含めた全年代で「老後資金」に関しての不安がトップとなっています。
また、同アンケート調査「将来の生活設計や資金計画の検討」の項目を見てみると、20歳代の回答は、各項目で全年代平均を僅かに上回る結果となり、中でも「何歳でどんな人生イベントがあるか自分でシミュレーションした」においては、全体の中で最も高い水準となりました。これらの結果から、若年層において、「人生100年時代」で長期化する人生を見据えながら、今後のライフイベントを想定する、という意識も高まっているのではないかと考えられます。
資産形成に向けた金融・経済情報に対する姿勢についても見てみましょう。同アンケート調査「ライフプラン・資産形成に関するセミナーへの参加意向」を伺う項目において20歳代の回答結果は、以下【図表3】の通り「お勤め先の会社・団体から機会提供があれば参加してみたいと思う」で18.0%、「個人で(お勤め先の会社・団体以外の場で)参加してみたいと思う」で29.2%となり、全年代の中で最も高い水準となりました。
続いては情報収集に関する項目を見てみましょう。同アンケート調査で「金融商品(預金、有価証券、保険など)を選択する際に、誰かに話を聞いたり、新たに情報を探したりしますか」と伺った項目では、「している(している・たまにしている計)」と回答した20歳代が31.4%となり、こちらも全年代の中で最も高い水準となりました。
これらのアンケート調査結果から、実際に「若年層における資産形成」に対する意識は、他年代に比べて高いことがわかります。
では、実際に資産形成への取り組み状況はどうなっているか、うまく情報を活用できているか、次回のコラムでは「行動編」ということで更に深堀りしてみていこうと思います。