NISAのお金はどこから出す?

引継ぐ資金
NISAが思いもつなぐ?

引継ぐ資金、NISAが思いもつなぐ?

贈与資金でNISAを活用

 生前贈与の一般的な方法として「暦年贈与」があります。毎年1月1日から12月31日までの間(暦年)に贈与を受けた人の財産の合計が、110万円以下であれば基礎控除の範囲内のため非課税です。
 では、贈与をしていればどのような方法でも大丈夫でしょうか。贈与と認められなければ、相続発生時に名義預金※1とみなされ、課税される可能性がありますので、【図表1】のポイントを押さえておきましょう。

※1 形式上は、配偶者や子、孫等の名義で作成された銀行口座およびその預金で、収入や入金経験等から総合的に判断すると、実質的には名義人のものではない預金口座を指します

図表1 贈与をする際に押さえておきたいポイント
贈与者と受贈者の意思確認 記録化 贈与財産の管理
暦年贈与は毎年の契約のため、毎年お互いの「あげた」「もらった」という意思を明確にするため、贈与契約書を作成することが大切です 贈与者の口座から受贈者の口座へ振込みするなど、しっかりと贈与した事実を確認できる記録を残すことが必要です 贈与された資金は贈与を受けた方が管理することが大切です
そのためには受贈者が「つかう」ことがポイントです

(出所)三井住友信託銀行作成

 特に確認しておきたいのが「贈与財産の管理」です。贈与を受けた受贈者が「つかう」のがより望ましい一方で、無駄遣いなど贈与者の思いとは異なった「使い方」となる可能性があります。
 その際の活用を検討したい方法の一つが、NISAの利用です。NISAを利用して投資信託等の金融商品を購入することで、「もらった資金をすぐに使い切ってしまう」ということを防ぐことができます。また、受贈者自身の将来のライフプランを踏まえた資金計画の中に盛り込んでいくことで、そのライフプランが実現した暁には、贈与者の想いを改めて感じることができるのではないでしょうか。

相続資金でNISAを活用

 ミライ研のアンケート調査で、これまで相続したおおよその資産額をお伺いしたところ平均で2,346万円という結果になりました【図表2】。

図表2 これまで相続したおおよその資産額(複数の相続を受けている場合はその合計額)
図表2 これまで相続したおおよその資産額(複数の相続を受けている場合はその合計額)
  • (出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)
  • *回答者:今までに相続を受けたことのある方1,766名

 一方で、世代の異なる家族と資産の状況や相続対策について会話することはあるかという質問に対しては、「ない」と回答される方が多数を占め【図表3】、平均で2,000万円を超える大きな相続資金が突然、自身の手元に引き継がれてきたという方も少なくないのではないかと思われます。

図表3 世代の異なる家族と資産の状況や相続対策について会話することはあるか
<親や祖父母などと会話することはあるか>
図表3 世代の異なる家族と資産の状況や相続対策について会話することはあるか<親や祖父母などと会話することはあるか>
  • (出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)
  • *回答者:9,416名 *「親や祖父母などはいない」の回答を除く *3.0%未満はグラフ内の比率表記を省略
<子や孫などと会話することはあるか>
図表3 世代の異なる家族と資産の状況や相続対策について会話することはあるか<子や孫などと会話することはあるか>
  • (出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)
  • *回答者:7,923名 *「子や孫などはいない」の回答を除く *3.0%未満はグラフ内の比率表記を省略

 2024年以降のNISAでは、1年間つみたて投資枠と成長投資枠を併せて360万円投資ができ、非課税で保有できる金額が1,800万円と大きな器になっています。マネープランには(そこまで)織り込まれていない資金ではあるものの、インフレや金利上昇による先行き不安も高まる中、少しでも有効に活用する(させていただく)という観点では、相続・贈与等で引き継ぐ資金の器としてNISA活用も検討の1つになり得るのではないでしょうか。


  • ※掲載内容は2024年2月時点のものです
  • ※投資信託についてのご注意事項はこちらをご確認ください
  • ※NISA制度(少額投資非課税制度)・ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)およびNISA口座・ジュニアNISA口座についてのご注意事項はこちらをご確認ください
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