【第49回】1万人アンケート調査より⑥
2022.02.09
本シリーズではこれまで、コロナ禍が私たちの暮らしにもたらした「時間的なゆとり」の変化や「資産形成意識」の変化、「資産形成に向けた行動」の変化、「現実の資産形成額」の変化をみてきました。
今回と次回は、こうしたコロナ禍によって生じた様々な変化を「年齢切り」でみてみようと思います。コロナ禍から受けた影響が大きかったのは若者?それともシニア世代?
まず、コロナ禍における時間的なゆとりの変化を年齢別にみてみます。
時間的なゆとりが「増えた」人の比率は、30歳代以上ではだいたい2割前後で横並びですが、20歳代だけは3割を超えています【図表1】。
20歳代の人たちは、リモート授業やテレワークへの移行に支障がない「デジタルネイティブ世代」です。
また、学生や派遣・契約社員、パート・アルバイトといった「おうち時間」の増加ポテンシャルが高い人が他の年代と比べ多くなっています(20歳代アンケート回答者の36.6%)。
更に、未婚者が多いので (同 77.4%)、増加したおうち時間が、同じようにおうち時間が増えた家族の世話などで潰れることなく、そのまま自分自身のゆとり時間となりやすいと考えられます。
こうした特徴を踏まえれば、20歳代において時間的なゆとりが増えた人の比率が高くなるのは自然な流れ、20歳代の時間的なゆとりは「増えるべくして増えた」といえるかもしれません。
続いて、資産形成について考える機会(時間)の変化を、やはり年齢別にみてみます。
コロナ禍前と比べ時間的なゆとりが「増えた」人のうち、資産形成について考える機会が「増えた」人の比率は、若い世代ほど高くなっています。
先ほど見た時間的なゆとりが増えた人の比率が、「20歳代」と「30歳代以上」の間で段差がつく形になっていたのに対し、こちらは、年齢が上がるにつれ徐々に比率が低下していく形となっていますが、最終的には、20歳代では2人に1人(「増えた」「少し増えた」の合計で48.1%) ⇔ 60歳代では3人に1人弱(同30.1%)と結構な差がついています【図表2】。
みてきたように、ゆとり時間が増加した人の比率、資産形成について考える機会(時間)が増えた人の比率ともに、最も高いのは20歳代です。時間的なゆとりが増えた人が3割強(31.0%)いて、このうち、資産形成について考える機会が増えた人が5割弱(48.1%)ですから、
31.0%×48.1%=14.9%
で、20歳代全体の約15%が、コロナ禍をきっかけに資産形成について考える機会が増えた、言い換えれば資産形成意識が高まったとみることができます。
シリーズ第1回で、アンケート回答者全体(全年齢層)では、時間的なゆとりが増加した人が2割強、その中で資産形成について考える機会が増加した人が4割弱であり、両比率を掛け合わせた「8.6%」が資産形成意識が高まった人の比率であるとお伝えしましたが、20歳代の同比率はこれを大きく上回る「14.9%」となっており、他の年代を大きく引き離しています(図表3)。
次回は、「資産形成に向けた行動」の変化と「現実の資産形成額」の変化をやはり年齢別にみてみます。資産形成意識が高まった人がダントツで多かった20歳代ですが、果たして「行動」や「資産形成額」においても年上世代をリードしているのでしょうか?