【第227回】みんなで楽しくお金のレッスン

物価高は、なぜ起こる?

2026.02.25

物価高は、なぜ起こる?

 本コラムは、現役中学生・高校生から寄せられた「お金」に関する素朴な疑問に分かりやすくお答えする、お金のレッスンシリーズです!今回のテーマは、「物価高は、なぜ起こる?」について考えていきます。

 最近は食品や日用品の値上げが続き、「物価高」という言葉は中学生、高校生でも耳馴染みのあるものとなったようです。物価高とは、私たちが日々、購入するモノやサービスの価格が全体的に上がっていくことを指します。長らく“デフレ”が続いた日本にとっては、いまは大きな転換点ともいえる状況です。
 では、そもそも物価高はなぜ起こるのでしょうか。その理由を見ていく前に、まずはモノの価格がどう決まるのかを簡単に整理しておきましょう。

モノの価格は、どう決まる?

 モノの価格は、基本的に需要(買いたい人)と供給(売りたい量)のバランスで決まります(図表1)。
 例えば、人気商品が数量限定で売り出されると、「少し高くても買いたい!」という人が多く、価格を上げても買い手がつくので、モノの価格は上がりやすくなります。
 反対に、野菜が大豊作で市場にたくさん並ぶような場合、いつもと同じ価格では売れ残ってしまうため、モノの価格は下がりやすくなります。
 このように、モノの価格は買う側と売る側の思惑が折り合うところで決まります。

図表1  モノの価格の決まり方

インフレが起こるのは、なぜ?

 ある時点でのモノの価格は、上記の通り需給バランスによって決まりますが、一部の商品だけが値上がりをするのではなく、多くのモノやサービスの価格が継続的に上がる状態をインフレーション(インフレ)といいます。では、今回のテーマである、物価高=インフレはなぜ起こるのでしょうか。大きく2つの要因をお伝えします。

 1つ目が、需要がきっかけとなるインフレです。このインフレでは、「需要が増える→企業が価格を引き上げても売れる→売上が増えて投資や賃上げが進む→さらに需要が増える・・・」という循環の中で、モノの価格が上がっていきます。
 経済が活発な時に起こりやすいため、「良いインフレ」と表現されることもあります。

 2つ目が、コストの上昇がきっかけとなるインフレです。原材料費、人件費、エネルギー価格など、「モノを作るための費用(コスト)」が高くなると、企業はコスト増を価格に転嫁せざるを得ないため、結果としてモノの価格が上がります。
 この場合、急激なコスト上昇で価格転嫁が追いつかなかったり、急な値上げで需要が減少したりすることで、企業の利益を圧迫する可能性があるため、対比的に「悪いインフレ」といわれることもあります。

インフレは、やっぱり嫌なもの?

 「同じものを買うのであれば、安い方が嬉しい」と感じる人は多いでしょう。そのため、物価が上がるインフレよりも、モノの値段が下がり続けるデフレの方が良いのでは?と思う人もいるかもしれません。
 では、インフレとデフレについて、その違いを詳しく見ていきましょう【図表2】。

図表2 インフレ・デフレで起こること

 デフレの場合、目先の支出は少なくて済むので消費者としては良いように感じるかもしれませんが、企業の収益が低下し、賃金が上がりにくくなるため、景気全体が低迷する原因にもなります。
 一方でインフレの場合も、度を超えると日常生活が苦しくなり、通貨価値の下落といった深刻な問題を引き起こすこともあります。

 このような理由から、最も理想的なのは「安定したインフレ」で、日本銀行は、「物価上昇率2%程度が安定的に持続する状態」と定めています。この状態であれば、企業活動や賃金、物価などがバランスよく伸びやすく、経済の安定と成長につながると考えられているためです。
 次回のレッスンも、お金について楽しく学んでいきましょう!

コラム執筆者

矢野 礼菜(やの あやな)
三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員

2014年に三井住友信託銀行入社。堺支店、八王子支店にて、個人顧客の資産運用・資産承継に関わるコンサルティングおよび個人顧客向けの賃貸用不動産建築、購入に係る資金の融資業務に従事。2021年より現職。主な著作として、『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A』(金融財政事情研究会、2023)がある。ウェルビーイング学会会員。

photo