【第201回】 スペシャル寄稿コラム①
2025.08.13
同じ三井住友トラストグループの資産運用会社である「三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社」の方にご登場いただき、運用会社の視点から「NISA」や「iDeCo」の活用について、3回シリーズで詳しく語っていただきます!!
金融庁が6月17日に公表した「NISA口座の利用状況調査(2024年12月末時点(確報値)」によると、2024年の新NISA(少額投資非課税制度)での買付額は成長投資枠が12兆4,143億円、つみたて投資枠が4兆9,677億円でした【図表1】。
2024年の国内株式市場において、新NISAはどの程度影響したのでしょうか。日本証券業協会の調査*1によると、新NISAでの2024年中の国内株式の買付け割合は38%でした【図表1】。また、2024年中の新NISAにおける売却状況のアンケート*2で、1銘柄も売却していない人は成長投資枠が75.3%、つみたて投資枠が83.2%でした。これらの数字を用いて推計すると新NISAで国内株式が約5兆円買い越されているということです。
約5兆円とはどの程度の規模なのでしょうか。日本取引所グループの投資部門別株式売買状況(東証・名証)によると、2024年の委託内訳では個人が約2兆円、証券会社が約0.2兆円の売り越しとなっています【図表2】。これらの売り越し額と比較しても約5兆円の買い越しは、2024年の国内株式市場の支えになっていたと言えるでしょう。
日本証券業協会の調査*1によると、成長投資枠における2024年1月から12月累計ベースでの株式買い付け額上位10銘柄のうち、9銘柄が国内株式となりました【図表3】。業種別では、情報通信、銀行、食品、輸送用機器、卸売、電気機器、医薬品、鉄鋼、サービス、機械が各1銘柄ずつとなりました。また、高配当銘柄が多いなど、株主還元や経営の安定性が重視されており、個別銘柄ごとにNISAによる影響にはバラつきがあるとみられます。
今後も、成長投資枠での資金流入の勢いは加速していくのでしょうか。日本証券業協会の調査によると2025年のNISAの口座開設件数は毎月10万口座以上の増加が続いており、堅調な資金流入が期待されます。一方で投資信託協会の「2024年 投資信託に関するアンケート調査(NISA、iDeCo等制度に関する調査)」によると、NISA制度(成長投資枠)の利用意向は活用に消極的な割合が依然4割以上あります【図表4】。同調査では、NISAでの金融商品の購入を検討するきっかけとして、若年層を中心に「手取り収入が増えたら」、「金融や投資の勉強をして理解できたら」、「金融機関窓口などで、専門知識をもつ人に教えてもらえたら」などが挙げられています。政府が掲げる金融教育の充実や、賃上げによる実質賃金の増加が実現できれば、NISAの活用に消極的な層が減少してくことで投資資金の流入が加速する可能性も高まりそうです。
コラム執筆者
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
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