【第195回】令和の”住まい“と住宅ローン(2025年)①
2025.07.02
ミライ研では今年も、「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)を実施しました。全国1万人を対象に行ったこの独自アンケート調査の結果をもとに、令和の“住まい”と住宅ローン事情(2025年)を公表しておりますが、本コラムでは、その調査結果の一部をご紹介します。
近年、「住まい」に関する話題といえば、不動産価格の高騰に注目が集まっています【図表1】。しかし加えて、家賃もじわじわと上昇を続けています【図表2】。住宅を「買う」にしても「借りる」にしても、以前よりも住まいに係る費用は確実に増えているのが現状です。では、こうした状況の中で、世の中の人は「買う」ことを選んでいるのでしょうか。それとも「借りる」ことを選んでいるのでしょうか。
今回の調査で、現在のお住まいについて、「持ち家(自己所有)」、「賃貸」、「その他(親世帯の住居(実家)に同居など)」の3つの選択肢でお伺いしたところ、【図表3】の結果となりました。
全年代では、持ち家が45.3%、賃貸が38.3%、その他が16.4%という結果となりました。しかし年代別に確認してみると、20代では持ち家は17.8%ですが60代では73.8%と、年齢が上昇するにつれて持ち家率が上昇していることが分かりました。
また、持ち家の方に対して、「住宅を購入した年齢」についてお伺いしたところ、最も多かったのは、30~34歳(20.9%)、次いで29歳以下(18.0%)でした【図表4】。つまり、およそ3人に1人は34歳までに住宅を購入しているということになります。さらに、約4人に1人は相続・譲渡などで保有したので、「購入」はしていないと回答しました。
このように、年齢を重ねるにつれて「買う」ことを選択する人が増えていることが、ミライ研の調査からみえてきます。では、価格が高騰する中で、世の中の人はどのようにして住宅を購入しているのでしょうか。次回は、住宅購入の手段として欠かせない住宅ローンについて、詳しく見ていきます。
コラム執筆者
矢野 礼菜(やの あやな)
三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員
2014年に三井住友信託銀行入社。堺支店、八王子支店にて、個人顧客の資産運用・資産承継に関わるコンサルティングおよび個人顧客向けの賃貸用不動産建築、購入に係る資金の融資業務に従事。2021年より現職。主な著作として、『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A』(金融財政事情研究会、2023)がある。ウェルビーイング学会会員。