【第175回】みんなで楽しくお金のレッスン
2025.02.05
本コラムは、現役中学生・高校生から寄せられた「お金」に関する素朴な疑問に分かりやすくお答えする、お金のレッスンシリーズです!今回のテーマは、「銀行って、どこからお金をもらってるの?」について考えていきます。
日本銀行の「資金循環統計(2024年第3四半期)」によると、預金を取り扱う金融機関、いわゆる銀行の保有するお金(預金)は1,721兆円となっていますので、これだけ大きなお金がどこから来て、どこへ行くのかは確かに気になります。そのカギを握るのが、銀行の機能です。
銀行には大きく3つの機能があります。1つ目の機能は、「資金に余裕のある人・企業など」からお金を安全にお預かりし、「資金を必要としている人・企業など」に対して貸し出す、というお金を仲介するというものです(図表1)。
この機能があることで、お金を必要としているところへ、より効率的にお金を届けることができます。
もちろん銀行は、集めたお金を全て貸し出してしまうわけではありません。お金を預けた人が、「預けたお金を引き出したい」といえば、当然、お金をお返ししなければならないからです。ですから、預かったお金の一部を「支払準備金」として日本銀行に預けたうえで、残りのお金を貸出しに回します。このようにして貸し出されたお金は、さまざまな経済活動を通じて、再びどこかの銀行へ預金として預けられます。この循環を何度も繰り返していくと、最初に預かったお金の何十倍ものお金が世の中に生み出されて行きます。この仕組みのことを、「信用創造」といいます(図表2)。
3つ目の機能は、お金を決済する機能です。具体的には、振込み、手形、小切手などによる決済や公共料金の口座振替、クレジットカード利用代金の自動引き落としといったものが挙げられます。この機能を活用することで、現金を確認したり運んだりする手間を省いたり、失くすリスクを回避した入りすることができます。また、経済活動の効率化にも貢献をしています。
ですから、「銀行って、どこからお金をもらっているの?」の答えは、「世の中の人や企業などからお預かりしている」といえます。銀行の役割を理解することで、私たちの生活や経済活動がどのように支えられているのかが見えてきます。次回のレッスンも、お金について楽しく学んでいきたいと思います!
コラム執筆者
矢野 礼菜(やの あやな)
三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員
2014年に三井住友信託銀行入社。堺支店、八王子支店にて、個人顧客の資産運用・資産承継に関わるコンサルティングおよび個人顧客向けの賃貸用不動産建築、購入に係る資金の融資業務に従事。2021年より現職。主な著作として、『安心ミライへの「金融教育」ガイドブックQ&A』(金融財政事情研究会、2023)がある。ウェルビーイング学会会員。