【第164回】生活満足度を高める住まい選びとは?
2024.11.13
前回のコラムでは、賃貸・持ち家それぞれの住居形態を「生活満足度」の切り口から分析しました。調査結果からは年代が上がるにつれて、賃貸派の生活満足度は低下し、持ち家派の生活満足度が向上するといった特徴がみられました。果たして住居形態だけで生活満足度は決まってしまうのでしょうか?
全3回のうち最後となる今回のコラムでは、「住居形態以外」で生活満足度に影響を与える要素について、解説していきたいと思います。
賃貸・持ち家に関わらず「住まいの選択」は、その後の生活に大きな影響を与えることになります。そういった選択の前にこそ、自身のライフプラン策定が大切です。「ライフプランを立てているか否か」を軸に生活満足度を分析したのが【図表1】です。賃貸派・持ち家派に加え、ライフプランを立てている・立てていないグループに分けて生活満足度をみると、いずれの住居形態であっても、「ライフプランを立てている人」は生活満足度が高く、逆に「ライフプランを立てていない人」はその値が大きく劣後していることがわかりました。
この結果から「ライフプランを立てているか否か」は「どのような住まいを選択するか」よりも、生活満足度に対して大きな影響力を持つことが推察できます。
【図表1】の結果から読み取れるように、生活満足度を左右するのは住まいの選択だけでは無いようです。また、住宅購入時にはほとんどの方が住宅ローンを活用されるかと思いますが、その返済負担感と生活満足度の関係はどうでしょうか【図表2】。こちらの結果からも、住宅ローンの負担感が軽いほど現在・5年後ともに生活満足度が高くなるといった特徴がみられました。
「念願の自宅を購入すれば、将来の生活が約束される」というものではなく、先ほどのライフプラン同様に長期的な返済を見据え、無理のない負担感で計画を行うことが生活満足度を高めていくには重要となりそうです。
快適な住環境は、心身の健康や日々の安心感にもつながる生活満足度を高めるにあたって重要な要素と考えられます。一方で、今回の調査結果からは、「住まいの選択」だけではなく、「ライフプランを立てること」や「住宅ローンの返済計画をしっかりと考える」といった、住まい選択の前準備が、生活満足度に対してより大きな影響力を持つ、ということがわかりました。
住まいはあくまで生活基盤の一部であり、人生設計全体のバランスを考えることが大切です。金融リテラシーの向上を図り、自身にとって適切な人生設計を行うことは、家計にもゆとりを持たせるだけでなく心にもゆとりを持たせ、豊かで満足度の高い生活を実現することに繋がるのではないでしょうか。