【第151回】ミライレポート「新NISAの認知・活用事情」より
2024.08.07
前回のコラムでは、2024年のNISA制度の抜本的拡充を契機として、国民への新NISAの認知や利用浸透は着実に進んでいることがわかりました。
今回は、調査時点で新NISAを現在利用していない方にフォーカスを当て、新NISAに対して「利用意向がある」方、「利用するかどうかわからない」方、「利用意向がない」方に、どのような経験・意識の差があるのか、ミライ研の調査をもとに紐解いていきます。
まず、調査時点で新NISAを利用していない方たちにおける、「今後の利用意向」はどのような状況なのでしょうか。
新NISAに対して「利用意向がある」方、「利用するかどうかわからない」方、「利用意向がない」方の分布を示している【図表1】を見ると、「わからない層」が約半数を占める最大勢力であることがわかります。
(「NISA意向あり層=19.0%」、「NISAわからない層=47.0%」、「NISA意向なし層=34.0%」)
これらの3つのセグメントにおいて「利用意向がある」層と「それ以外」の層で、「学ぶ機会」の有無を確認してみます。「金融リテラシー向上のためのセミナー」の受講経験をそれぞれのセグメントで集計すると、「NISA意向あり」層はセミナー参加経験者率が18.3%となり、それ以外の層と比べて、顕著にセミナーの参加経験率が高い傾向となりました【図表2】。
また、将来設計の状況にどの程度の差があるのかを調べました。すると、【図表3】のとおり、新NISAの利用意向がある人の方が、「将来の生活設計・資金計画について検討したことはない」回答の割合が相対的に低くなっています。「NISA意向あり層」のうち過半数は、何かしらの将来設計・資金計画の検討をしていることがわかりました。
2024年のNISA制度の抜本的拡充を契機として、国民への新NISAの利用浸透は着実に進んでおり、現時点で新NISA未利用者においても、すでに利用意向がある方が相応にいることがわかりました。一方で、調査時点で新NISAを利用していない層のなかで、今後の利用意向に関して「わからない」と答えている層が約半数と最大勢力でした。
ここまでの調査結果から考察すると、「新NISAの認知者」から「新NISAの利用者」となるきっかけは、金融リテラシー関連の情報に接する機会を持つこと、ならびに自身の人生の将来を考えてみること、といえるかもしれません。「まわりがNISAを始めたから自分もやってみよう」というきっかけで資産形成を取り組み始めることもよいですが、それだけでなく、お金に関する“学び”を得ることや、自身の将来設計を立ててみることで、「人生の経営者は自分」という意識が芽生えることが、生涯にわたって長期で資産形成制度を“活用”していく上で重要と思われます。