【第126回】令和の資産形成事情②

~NISA、iDeCoなどを活用しているのは4人に1人?~

2023.10.18

~NISA、iDeCoなどを活用しているのは4人に1人?~

 前回のコラムでは、資産形成意識の高まりがみられる中、お金の不安の最大要因である老後資金に対する想定度合いを考察しました。不安は多いものの、老後における年金などの収入、生活費想定、そこから導き出される老後の必要想定額については、いずれも「把握」する取り組みがいっそう必要そうでした。今回のコラムでは、そのような状況下、皆さんがどのように資産形成を行っているのか、税制優遇制度の活用状況を考察してみます。

資産形成の取り組み状況は?

 2024年からの新しいNISA制度スタートなど、「貯蓄から資産形成へ」の機運が高まりつつありますが、ミライ研では、1万人に対し資産形成への取り組み状況を調査しました【図表1】。「取り組んでいる人」の内訳を見ると、全体では「預貯金」が50%超で第1位となっており、2位の「投資信託」(14.3%)を大きく引き離しています。年代ごとに見てみると~20歳代、30歳代、60歳代ではいずれも「投資信託」が2位となっており、「株式」や「国債」などを上回る結果になっています。その一方で、年代によらず約3割の人は「取り組んでいない」との回答でした。

図表1 資産形成で取り組んでいること

 では、資産形成に取り組んでいる人の資産形成額はどうでしょうか。【図表2】では、資産形成に何かしら取り組んでいると回答した人の年間の資産形成額を示しています。どの年代を見ても、「1万円~50万円」の回答割合が多い結果となっています。また、その平均金額は103.8万円となっています。

図表2 年あたり資産形成額

資産形成における税制優遇制度の活用状況は?

 資産形成を後押しする「税制優遇制度」の利用状況をみてみると(図表3-1)、制度の「未利用」が75.7%と最多であり、制度の普及・活用面で大きな余地がありそうです。年代ごとの制度の利用状況を見てみると(図表3-2)、若年層はNISA制度中心ですが、年齢が上がるに従いDC制度の活用割合が上がっていることがわかりました。また、両制度を併用している割合は24.8%ですが、30歳代までの若年層では3割を超えていることが確認できました。

図表3-1 DCとNISAの利用状況
図表3-2 DCとNISAの利用状況・両立状況

 現在、「貯蓄から資産形成」に向けた国家的な取り組みが進行中です。調査では、「何かしら資産形成に取り組んでいる人」は10人中7人と「過半数を超えてきている」のですが、一方で、年間の資産形成額は100万円程度と現行の一般NISA枠で収まるぐらいの規模です。
 本調査時点での税制優遇制度の利用割合は約24%となっており、制度利用の意識・実態の両面において「今後の取り組み余地が大きい」状況です。2024年以降、NISAやiDeCoの制度拡充が予定され、ますます情報発信がなされることが想定されますので、より一層、国民の資産形成行動が進んでいくことが期待できますね。

 なお、前回のコラム並びに今回のコラムは、ミライ研のアンケート調査結果「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)より、「令和の資産形成事情」を基に作成しています。より多くのデータを確認したい方は、当研究所HPの「ミライレポート」のページにレポートを掲載していますので、是非ご覧ください。