【第3回】今、なぜ「資産形成・活用」が大切なの?③

寿命が15年延びると、私たちの生活には どのような影響がありますか?

2020.03.19

寿命が15年延びると、私たちの生活には どのような影響がありますか?

平均寿命と健康寿命には差がある

 現在、いわゆる「天寿を全うする」という生物学的な意味での「生命寿命」とは別に「健康寿命」という言葉を耳にする機会が増えてきていませんか。健康寿命とは、心身ともに自立し、健康的に生活できる期間を指します。今後、生命寿命が延びていくことは、人生の選択肢と可能性が広がる一方で、思考能力、身体能力という観点では、(当然個人差は大きいものの)十分にその機能が自立的に発揮できる「健康寿命」の期間と、周りからのサポートを受けながら生活していく「要支援・要介護期間」とに分かれてきます。

 現在、医学的な見地から日本における健康寿命は男性は約72歳、女性は約75歳といわれています。健康寿命期を過ぎ「要支援・要介護期間」に入って自立度が低下してくると、老後生活を支えていく資産はさらに重要になってきます。この「要支援・要介護期間」は、男性は約9年、女性は約12年となります。
できるだけ健康寿命を延ばすことが望ましいですが、要支援・要介護期間が延びることも想定しておいたほうがよいでしょう。そうすると、現役時代に「老後のために」準備した資産に、今度はできるだけ長く働いてもらい、「生命寿命」をカバーしていくことが求められています。

資産寿命の観点も大切

 老後生活では、現役時代と違って「勤労による収入」を大きくは見込めませんから、準備した老後資産を取り崩しながら「資産寿命」を延ばしていくことが求められます(資産寿命=老後生活を営むにあたり、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間)。老後生活の収入の柱となるのは、国民年金や厚生年金保険といった国からの年金ではあるものの、2019年6月公表の金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ報告書をきっかけとして、老後資産について、自助努力での準備が重要であることが認識されつつあります。
 早いうちから、老後資金を自助部分も含めて準備し、取り崩しを先に延ばす場合はシニア時代での就労継続を検討し、形成した資産にも必要に応じて「資産運用」面で働いてもらう…など、一人ひとりが「計画」と「準備」、そして「行動」することが大切です。

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