【第63回】第3回1万人アンケート調査

数字が教えてくれる、令和の“住まい”と住宅ローン事情③

2022.06.22

数字が教えてくれる、令和の“住まい”と住宅ローン事情③

令和の時代は「ローンリテラシー」も大事

 若い世代を中心に利用が増えてきているペアローンですが、

  • ・借入額が大きくできることで物件の選択肢が広がる
  • ・住宅ローン控除の要件を満たした場合、それぞれの住宅ローンにおいて住宅ローン控除が適用できる
  • ・契約が別々となることから、金利タイプ(固定・変動など)、返済方法(元利均等・元本均等など)、返済期間などを個別に選択できる

などが期待できる一方で、

  • ・事務手数料などの費用負担の増加(それぞれにローンを設定することから、事務取扱手数料、印紙税、保証料、抵当権設定費用などがそれぞれの契約ごとに発生)
  • ・返済の持続性
  • ・ペアを解消(離婚など)した場合の対応の想定

といった留意点も確認しておくことが望まれます。

 通常、ペアローンは「共働き世帯」で利用されますが、20年、30年といった返済期間において「共働き状態」が継続することが前提になっています。「子育て」や「転職」といったライフイベントなどの発生時にパートナーの収入が大きく減少した場合でもローン返済を継続できるかどうか、という点を世帯の「ライフプラン」「キャリアプラン」の中で検討しておくことが望まれます。

 また、将来においてペアを解消(離婚など)することになった場合、選択肢としては「住宅を売却する」と「所有を続ける」に大別できると思われます。
 購入した住宅が共有名義の場合、パートナー双方の「売却同意」が必要になります。片方が売却を拒否する場合は、売却ができません。
 売却に同意した場合でも、「物件売却 ⇒ ローン完済」ができればよいのですが、それでも債務が残るケースでは、返済が困難になることもあります(オーバ―ローン)。
 ペア解消後も2人で所有を継続し、それぞれローンを返済していくという選択肢もありますが、引き続き「自身が債務者」であり、「元パートナーの連帯保証人」であることに留意が必要です。片方の返済が滞った場合、2人分の返済を求められることも想定しておくべきです。

 これまで住宅ローンの金利は歴史的な低水準でした。一方で、今後、上昇局面に転じてくるとどうなるでしょうか?過去においても、金利が低い状況から上昇していく局面では、住宅ローン保有者は金利が立ち上がり始める前に、比較的低い金利状況で「固定性の住宅ローン」に切り替える「住宅ローンの借り換え」をローン返済額の膨張回避策として利用するケースが見られました。
 住宅ローンの利用にあたって借入形態を含め「選択肢」が増えてきていますが、将来における環境変化などに対して「対応策」が発動できるよう、メディア記事などで関心を持っておくとともに、「ローンリテラシー」を高めておくことが重要と考えられます。