【第1回】今、なぜ「資産形成・活用」が大切なの?①

日本人の平均寿命はまだ80歳代。いつから「人生100年時代」と呼ばれるようになったのでしょうか?

2020.03.19

日本人の平均寿命はまだ80歳代。いつから「人生100年時代」と呼ばれるようになったのでしょうか?

きっかけは、ベストセラー書籍「ライフ・シフト」

 統計データ(厚生労働省「平成30年簡易生命表」)をみてみると、日本の平均寿命は男性81.25歳、女性が87.32歳と、実態に照らした現状は「人生85年時代」程度と言えそうです。しかし今、「人生100年時代」と言われるのは、やはり、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の『ライフ・シフト-100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社刊、原題“THE 100-YEAR LIFE”)が2016年に刊行され、世界中でベストセラーとなったことが大きいと考えられます。特に同書の中で「2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される」との記述があったことで、2017年には内閣府に「人生100年時代構想推進室」が設置、同年「人生100年時代構想会議」(議長:安倍晋三首相)がスタートしました。その有識者議員としてリンダ・グラットン教授が招かれたことなどもあって、一気に日本人の中に「100歳まで生きる人生」という認識が広がったと言われています。

「人生100年時代」のフロントランナーである日本

 WHO(世界保健機関)が定める定義では、人口に占める65歳以上比率の上昇に応じて「7%以上:高齢化社会」「14%以上:高齢社会」「21%以上:超高齢社会」としていますが、日本はというと、1970年に「高齢化社会」、1994年に「高齢社会」、2007年に「超高齢社会」に突入しています。注目すべきは、「高齢化社会」から「高齢社会」までには、24年間かかっていましたが、「高齢社会」から「超高齢社会」まではわずか13年で到達している点です。この急ピッチな長寿化の進展は、少子化傾向と相まって「少子高齢化」と呼ばれ、政策課題として幅広く取り上げられています。
 世界的にも長寿化が進んでいる日本は、「人生100年時代のフロントランナー」として、今後の取り組みが世界から注目されていますが、私たち個人にとっても、次の世代、次の次の世代の「人生」を考えると、「人生100年時代」の人生設計は、「今」から考えておくことが極めて重要となっていると考えられます。